羊の時刻

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諸星大二郎『西遊妖猿伝』一気読み。

 文フリ京都をキャンセルすると決めてからしばらくは気が抜けて脱け殻になってましたが、ひょんなことから諸星大二郎の『西遊妖猿伝』を読み始めたら止まらなくなって、それからずっと『西遊妖猿伝』を読みっぱなしで気づいたら一月が終わってました。
《大唐篇》を読み終わって《西域篇》も読み終わって、《西域篇・火焔山の章》の最新刊である第三巻まで読み終わって次の巻が待ちきれません。こんなに読むのがやめられなかった漫画はちょっと他に記憶が無いです。
 特に大人になってからはここまで漫画に熱中できたことは無かったから、出会えてほんとによかったです。

 諸星大二郎はこれまでほとんど読んだことが無くて(『不安の立像』を読んだもののそんなにピンと来ず、家人が買った『マッドメン』もちょっと読んでみたものの絵が暗くて脱落)、なんとなく「暗くて不気味な漫画を描く人」と認識しているだけだったので、今回『西遊妖猿伝』を読んで「こんなに楽しい漫画を描く人だったの!?」とびっくりしました。キャラクターがみんな個性的で悪役も魅力的で、不気味なクリーチャーや亡霊にすらどこか愛嬌があって、そんな面々がコマの隅々でまでそれぞれ生き生き活躍しながらストーリーは片時も止まらないからページをめくる手が止まらない。
 童話「赤い靴」みたいに、両手を切り落とさないと読むのがやめられなくて読み死にするんじゃないかと思いながら貪り読みました。家人もそばで見ていて「大丈夫か」と思ったそうです。

 息抜きに少しずつ読もうと読み始めた『栞と紙魚子』も気づけば全巻制覇。
 我が家にはこれから諸星大二郎の本がどしどし増え続けるだろうと考えて、本棚(カラボ)をひとつ諸星棚として買い足しました。ひとつで足りるでしょうか。

 

 最新刊まで読み終わってしまったので、今はU-NEXTでNHKの『シルクロード 絲稠之道』と『文明の道』を流しながら既刊をじっくり読み返してます。《大唐篇》に登場してたヤギの皮で作った風船をくくりつけた筏「ヤンピーファーズ」もカラーで動画で見られて感激。

《西域篇》にたくさん登場する「ソグド人」についても図書館で本を借りてきて勉強中です。この本めちゃくちゃ面白いのに版元で品切れてて古書はプレミアついてて手が出ません。再版を切に希望。

 

《火焔山の章》第二巻で玄奘さんを感激させた綺麗な壁画がたくさんある遺跡は「ベゼクリク千仏洞」と言うのだそうで、調べたらこの壁画を復元したものが龍谷大学の博物館で一般公開されてるんだとか。それはぜひ見たい……! 行って私も玄奘法師になりきりたい!

museum.ryukoku.ac.jp

 
 次回の京都行きで楽しみなことがまたひとつ増えました。